『宮崎県沿岸における藻場造成及び管理に関する指針』策定のお知らせ

更新日:2021年03月03日

 藻場は、水産動物への餌料の供給及び生育や繁殖の場など、水産上有益な機能を担っていますが、本県沿岸では1990年代後半に大規模な藻場の衰退(磯焼け)が確認されました。
 県では、それ以前から藻場造成研究に取り組んでおりましたが、それ以降、重要な研究課題として磯焼け発生メカニズムの解明や藻場回復の取組を継続的に実施してきました。
 これまでの研究によって、磯焼けが発生・継続するメカニズムが明らかになるとともに、沿岸漁業の収益向上を図りながら行える藻場造成の方法を見いだすことができました。
 そこで、今回、現場の漁業者の皆さんに『今できる漁業としての藻場造成の取組の方法』を提案するとともに、全ての関係者に藻場に関する認識と今後の方向性を共有していただくために、本指針を策定しました。

  • 注意:藻場:海藻が密生し、あたかも陸上における森林や草原のような景観を呈している場所
  • 注意:磯焼け:藻場が何らかの原因で衰退し、その状況が継続する状態

1.指針のポイント

(1)本県沿岸における磯焼けの発生・継続要因

本県沿岸の磯焼けの発生と継続要因は、冬~春季の水温上昇に伴う植食性動物(ウニ類、植食性魚類)による海藻類の過剰採食であることが明らかとなった。

(2)藻場の回復・維持技術

藻場回復の原則は、磯焼け継続要因の排除であり、本県沿岸においては、植食性動物(ウニ類、植食性魚類)による採食圧を低減させることである。

(3)植食性動物の食圧低減技術と効果

ウニ類に対しては、除去(密度管理)が極めて有効であり、ウニ類の密度管理を行なった海域では小型海藻藻場の回復によるウニ類の身入改善が実証され、漁業収入の増加に繋がることが明らかとなった。

(4)『管理しながら収穫する藻場造成の手順』

  1. ウニ類の密度管理により小型海藻藻場の回復
  2. 小型海藻藻場回復によるウニ類の身入り向上
  3. ウニ漁業により身入りが向上したウニの漁獲(ウニ類の密度管理)
  4. 1~3の繰り返し(漁業生産活動)による藻場の維持

2.指針の構成

  • 第1藻場と磯焼け
  • 第2藻場の変遷と現状
    1. 藻場の面積と形成箇所数
    2. 藻場の衰退が漁業に及ぼす影響
  • 第3磯焼けの発生と継続
    1. 本県沿岸における磯焼けの発生要因
    2. 本県沿岸における磯焼けの継続要因
    3. なぜ植食動物の海藻採食量が過剰となったのか
    4. 藻場の維持と磯焼けの継続機構に関する仮説
    5. 藻場と磯焼けの変遷の傾向と主要な要因
  • 第4藻場の回復・維持技術
    1. 適用する技術の選定に係る基本的な考え方
    2. 藻場の回復及び維持に関する要素技術
  • 第5本県沿岸における藻場の回復と維持~『管理しながら収穫する藻場造成』
    1. 管理しながら収穫する藻場造成のモデルとなりうる事例
    2. 管理しながら収穫する藻場造成の手順
  • 付録
  • 参考文献

この記事に関するお問い合わせ先

水産政策課漁業・資源管理室
〒880-8501
宮崎県宮崎市橘通東2-10-1
電話番号:0985-26-7146
ファックス番号:0985-26-7309​​​​​​​
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