令和5年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介

更新日:2023年05月12日

水産試験場で令和5年度から新たに取り組む研究課題についてご紹介します。

電子ファイルは以下からダウンロードできます。

令和5年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介(PDFファイル:774.7KB)

なお、この内容は水産宮崎No.765に掲載されたものです。

令和5年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介

-研究企画-

水産試験場の調査研究の実施にあたりましては、日頃より皆様方のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。コロナ禍もようやく収まりを見せつつある状況の中で、第6次宮崎県水産業・漁村振興長期計画の更なる進捗を図るため、水産資源の持続可能な利用管理や、スマート水産業の推進をはじめとした水産試験場の取組も加速させていきたいと思います。

令和5年度は16の研究課題と17のモニタリングなどに取り組みます。これらの中から、令和5年度からスタートする新規研究課題4課題についてご紹介いたします。

 

(1)ICT活用による浮魚礁漁業のスマート化(R5~9、資源部)

これまでも、ICTを活用したスマート漁業の一環として、浮魚礁における気象海況情報の提供を行ってきたところであり、当該情報は、浮魚礁を利用する漁業者の方々などの操業判断の材料としてご活用いただいていると思っております。しかし、浮魚礁に魚が付いているのかどうか、浮魚礁周辺で魚が獲れるのかどうかについては、現状では、浮魚礁まで行ってみないと分かりません。そこで、令和5年度からは、浮魚礁に魚探等を設置し、魚の蝟集状況をリアルタイムに漁業者に情報提供することによって、効率的な漁撈活動ができるよう支援する方法を検討することとしています。

 

ICTを活用した浮魚礁利用漁業のスマート化

 

(2)日向灘の未利用漁場探索(R5~9、資源部)

県では、これまでも海底地形や環境DNAを用いた資源の分布状況の調査を行い、断片的ながらもその情報を関係者に提供してきたところではありますが、日向灘の深海漁場等の網羅的な把握には到底至っていません。令和5年度からは、昨年11月に竣工した新みやざき丸に搭載された最先端の機器を駆使して本県沖合域を網羅的に探索し、有望な漁場・未利用の深海資源等の情報を収集するとともに、それらの情報を漁業者に提供する方法について検討することとしています。

 

日向灘の未利用漁場探索

 

(3)新興・再興感染症の対策に関する研究 -血清型不明のαレンサ球菌症予防対策技術の開発-(R5~9、増養殖部)

2021年以降、本県海面養殖の主力魚種であるカンパチにおいて、これまでに知られた血清型とは異なる原因菌によるαレンサ球菌症の発生がみられるようになりました。この病気にはこれまでの本疾病用のワクチンに効果がなく、このため、治療経費の増大や歩留まりの低下といった養殖経営に直結した問題が発生したところです。このため、令和5年度からは、関係機関と連携しながら、これまでのαレンサ球菌症との判別技術の開発や、新たなワクチンの実用化に必要な知見収集を行い、ワクチンの開発・実用化を推進することとしています。

 

血清型不明のαレンサ球菌症予防対策技術の開発

 

(4)五ヶ瀬川水系アユ資源動態調査3(R5~6、内水面支場)

アユ資源が著しく減少している五ヶ瀬川水系では、平成28年来、アユ資源の合理的な利用・管理に向けた取組が継続して実施されており、近年は放流種苗として、性質が天然魚に近いといわれる、天然魚から採卵・採精した受精卵を用いて生産する人工種苗(F1アユ)を用いる取組が始まっています。令和5年度からは、前課題から取り組んでいる環境DNA分析による資源量の推定技術の開発をさらに進めるとともに、F1アユの放流効果の検証を行うこととしています。

 

五ヶ瀬川水系アユ資源動態調査3

 

 

以上が令和5年度から取り組む新規研究課題になります。このほか、前年度以前からの継続課題にも取り組んでまいりますし、試験販売用の水産加工品の製造が可能な「水産物加工指導センター」、魚病の診断や養殖場の巡回指導、ワクチン講習会などの魚病対策指導を担う「魚病指導総合センター」を運営し、水産業を支援するサービス業務もこれまで通り行ってまいります。

水産試験場に求められる役割は、水産業に従事される皆様の疑問・要望を解決する技術開発や情報の提供と考えておりますので、ご質問やご相談などがございましたら、遠慮なくご連絡いただきますようお願いいたします。

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