新船6代目みやざき丸の就航と新たに開始した調査研究について

更新日:2023年08月08日

新船6代目みやざき丸が令和4年11月25日に就航し、19年間稼働した5代目みやざき丸よりバトンタッチを受けて、令和5年度より本格的な運用を開始しています。6代目みやざき丸では、最新鋭の探索機器を搭載するとともに、船内研究室を備え、「走る調査船」として本県水産業の発展に大いに貢献していく所存です。今回は、6代目みやざき丸の特徴を紹介するとともに、新たに開始した調査研究について報告致します。

電子ファイルは以下からダウンロードできます。

なお、この内容は水産宮崎No.768に掲載されたものです。

図1新船6代目みやざき丸

図1 新船6代目みやざき丸

新船6代目みやざき丸の就航と新たに開始した調査研究について

ー経営流通部・資源部ー

1. 6代目みやざき丸の特徴

新船6代目みやざき丸は全長約44m、総トン数199トンで、定員は船員と調査員を合わせて21名、最大で連続12日間航行可能です。歴代のみやざき丸では初めてとなる船内研究室を設置しており、洋上において環境DNA等を分析する能力を有しています。また、高性能な魚群探知機やLCネットと呼ばれる表中層トロール網を装備しており、これらを活用して、漁場探索能力の向上や資源量調査の充実を図り、新たな漁場探索技術の開発等を行うこととしております。

また、より少人数での運用を可能とするため、機関区域を無人化することができるモニターや遠隔操作機器を装備していることや、女性専用の区画を設けていることも特徴です。

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図2 新船6代目みやざき丸の側面図

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図3 船内研究室(ドライエリア)

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図4 高性能探索機器等

2. 6代目みやざき丸で開始した調査研究

(1) 環境DNA技術による漁場探索

みやざき丸による航海調査は、主にカツオ、ビンナガの漁場探索支援を目的としています。6代目みやざき丸では、ソナーや高性能グラフ魚探等の最新鋭機器を活用するとともに、竿釣りによる釣獲調査に替わる手段として、船上での環境DNA分析技術を用いた漁場探索手法の開発に着手しました。環境DNAとは、海洋等の環境に存在する生物由来のDNAのことで、海水中の環境DNAを分析することにより対象生物の存在状況等を把握することができます。調査で得られた情報はリアルタイムに発信し、漁場探索に活用していただきたいと考えています。

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図5 環境DNAの採水

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図6 船上での分析作業

(2)クロマグロ稚魚調査

6代目みやざき丸で実装された表中層トロール網(LCネット)を使用した、本県での実施は初めてとなるクロマグロの稚魚調査になります。本調査は国研究機関と共同で実施しており、クロマグロ資源の利用管理のための基礎研究として、産卵場所の推定や来遊経路の解明を目的としています。令和5年6月14~16日に第1回、同月27~29日に第2回の調査を実施し、得られたサンプルについて今後分析作業を行っていきます。

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図7 表中層トロール網による調査

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図8 採集されたサンプル

(3)水中ドローンを利用した流れ藻調査
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6代目みやざき丸で実装された表中層トロール網(LCネット)を使用した、本県での実施は初めてとなるクロマグロの稚魚調査になります。本調査は国研究機関と共同で実施しており、クロマグロ資源の利用管理のための基礎研究として、産卵場所の推定や来遊経路の解明を目的としています。令和5年6月14~16日に第1回、同月27~29日に第2回の調査を実施し、得られたサンプルについて今後分析作業を行っていきます。

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図9 モジャコ(ぶり稚魚類)水中ドローン映像

(4)マルチビームソナー等を用いた未利用漁場の探索

6代目みやざき丸には調査用音響装置の一種であるマルチビームソナーが装備されております。通常の魚群探知機は海底に向けて1本のビームを発射し、反射してきた音波を魚群や自船が航行した線上の探知に利用していますが、マルチビームソナーは複数のビームを発射するため面的に探知することができ、海底地形については立体的に可視化することができます。利用されていない漁場(特に深海)をマルチビームソナーや釣獲試験、環境DNA分析技術を用いた手法で探索し、得られた情報を発信することとしており、これらの情報を沿岸漁業における操業海域の選定等にご活用いただければと考えております。

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図10 調査時のマルチビームソナー表示画面

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図11 マッピングした海底地形の状況

(5)沿岸定線調査

水産試験場が長年取り組んでいる海洋観測調査であり、水温や流速、塩分等の海洋観測やプランクトンネットを用いた卵稚仔のサンプリングを毎月実施しています。本調査のデータは、いわし類・マアジ・さば類の資源評価や来遊予測等に役立てられるとともに、水温の長期変動の把握等、本県沖合の海洋構造を知るうえでも重要なデータとなっています。これまで年間の半分以上は民間委託により実施してきましたが、6代目みやざき丸からは、年間を通じて自船で実施します。

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4 最後に

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最後に、船体に表示された「みやざき丸」の文字ですが、河野知事自ら揮毫したものとなります。6代目みやざき丸による調査研究は新たに開始したばかりのものが多い状況ですが、最新鋭の船体や機器を活用していくことで、みやざき丸の名に恥じぬ大きな成果を挙げ、本県水産業の発展に貢献していきたいと考えております。

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