令和6年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介

更新日:2024年05月31日

水産試験場で令和6年度から新たに取り組む研究課題についてご紹介します。

電子ファイルは以下からダウンロードできます。

令和6年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介(PDFファイル:774.7KB)

なお、この内容は水産宮崎No.777掲載されたものです。

令和6年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介

-研究企画-

水産試験場の調査研究の実施にあたりましては、日頃より皆様方のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。令和6年度につきましても、水産試験場では第6次宮崎県水産業・漁村振興長期計画の更なる進捗を図るため、水産資源の持続可能な利用管理や、スマート水産業の推進をはじめとした取組を更に加速させていきたいと思います。

令和6年度は17の研究課題と19のモニタリングなどに取り組みます。これらの中から、令和6年度からスタートする新規研究課題4課題についてご紹介いたします。

(1)ウナギ稚仔魚飼育技術実証試験2(R6~8、増養殖部)

本県は、全国3位の生産量、年間約100億円規模を誇る国内有数の養鰻県です。しかし、養鰻は種苗の全てを天然シラスウナギに頼っており、近年は不漁による種苗不足と価格高騰を受け、養鰻業者は大きな影響を受けています。これを受けて国研究機関を中心に人工種苗の生産技術開発が進められているところであり、本県も令和3年度から、国が開発した飼育技術の実証に取り組み、令和4年度は560尾、令和5年度は850尾のシラスウナギ生産に成功しています。6年度からは、改良された飼育方法等の実証により、さらなる飼育技術の向上と生産尾数の増加を目指します。

 

(2)漁業収益要因の解明(R6~8、経営流通部)

第6次水産長計では、法人は1経営体当たりの生産額の40%増加、個人経営体は漁業所得の33%増加を目標として掲げており、目標達成に向けて大幅な収益性向上を図っていく必要があります。このような中で、同一漁業種類の経営体であっても、その収益性については大きな差が生じる現状があります。そこで、本課題においては経営体毎の収益性の比較などを行うことなどにより、収益に差が生じる要因を分析し、収益性向上に繋がる改善策を検討することとしております。

 

(3)県産水産物の販売力向上技術開発(R6~8、経営流通部)

魚価低迷の要因として、漁獲量の減少や、仲買人の減少により小規模産地市場の価格形成能力が弱まっていることなどが考えられます。市場の価格形成能力の向上のためには、主産地市場への効率的な集荷や、需要に合わせた出荷先の検討などが必要と考えられますが、価格は様々な要因によって決定されるため、各市場の価格形成要因の把握が難しい状況にあります。そこで本課題では、本県水産物の流通実態把握と、価格形成要因に関する研究を行い、効率的な流通形態への転換に繋げたいと考えております。

 

(4)内水面における効果的な増殖方法に関する研究(R6~10、内水面支場)

本県内水面では、漁協等が中心となって漁業権対象魚種の放流をはじめとした増殖活動が行われているところです。しかし、アユをはじめとしたいくつかの漁業権対象魚種については採捕量の低迷が続いており、増殖活動の効果が十分に発揮されていない状況がみられます。増殖活動の効果発揮という課題については、魚種や地域に応じた効果的な増殖方法を実践していくことが重要となることから、本課題では、資源状況や魚種、地域状況に即した効率的な増殖方法を明らかにするための調査・研究に取り組むこととしております。

以上が令和6年度から取り組む新規研究課題になります。このほか、前年度以前からの継続課題にも引き続き取り組んでまいりますし、試験販売用の水産加以上工品の製造が可能な「水産物加工指導センター」、魚病の診断や養殖場の巡回指導、ワクチン講習会などの魚病対策指導を担う「魚病指導総合センター」を運営し、水産業を支援するサービス業務もこれまで通り行ってまいります。

水産試験場に求められる役割は、水産業に従事される皆様の疑問・要望を解決する技術開発や情報の提供と考えておりますので、ご質問やご相談などがございましたら、遠慮なくご連絡いただきますようお願いいたします。

 

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