新漁法(小型底定置網)の実証事業について【経営流通部】
本県漁業就業者は,平成30年漁業センサス概数値によると2,202人で,今後さらなる減少,特に沿岸漁業就業者の著しい減少が予想されていることから,漁業就業者の確保及び収益向上の対策が急務となっています。
県では沿岸漁業の収益向上を目的とし,県内で新たな漁法となる小型底定置網(以後,「底定置網」という。)の実証普及事業を2年間行いましたのでその内容をご紹介します。
小型底定置網漁業の特徴と操業状況
底定置網(図1,2)は小型定置網と比較して初期費用が抑えられ,操業人数も一人で可能であること,操業時間が短いことなどから,新規就業者でも取り組みやすい漁業です。また,既存漁業者が副業として導入することで漁業経営の多角化,漁獲の安定化,増加が期待できます(表1)。
設置場所にもよりますが,今回実証を行った底定置網の場合,操業時間は1時間,出漁時間は約2時間程度でした(表2)。
また,漁獲物は高単価の魚介類の割合が多いことから,一人当たり一時間あたりの水揚げ金額は近隣海域の小型定置網と比較して2倍以上あり,効率の良い漁業であることがわかりました(表3,4)。
複合漁業の検討
底定置網は操業時間が短いため,複数種類の漁業と組み合わせることが可能です。今回の実証では,採介採藻、ばいかごを操業しましたが,複数漁業を行った場合の平均出漁時間の最長は4時間30分程度となり,複合漁業を行っても操業時間は半日程度でした(表2)。
おわりに
現在設置している底定置網は実証後も新規就業者が継続して操業しており,引き続き操業状況などを調査することとしています。底定置網は現地視察も可能ですので,興味がある方は最寄りの農林振興局へご相談ください。
定置網は設置する海域によって水揚げ数量,金額,魚種が異なってくるため,実際の設置にあたっては各自が専門の網業者と詳細な検討を行う必要がありますが,沿岸漁業の収益向上の一助となることを期待しています。
なお,この内容は [水産宮崎 No.782 2024年9月1日発行 (jf-net.ne.jp)] に掲載されたものです。
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更新日:2024年10月09日