令和8年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介【研究企画】
水産試験場の調査研究について、日頃より皆様方のご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。水産試験場では令和8年度に19の研究課題と18のモニタリング調査などに取り組むこととしています。今回は、令和8年度からスタートする新規研究課題5課題について、ご紹介いたします。
(1)養殖グリーン化技術開発(R8~10、増養殖部)
本研究は、次の2つの課題に取り組みます。1つめは、本県の藻場現象の一要因とされる植食性魚類が、イワシ等を原料とする従来の養殖用餌料と栄養面等で遜色ないことが明らかとなったことから、養殖魚の成長等の影響の有無について評価を行うと共に、植食性魚類と共に混獲される未利用魚についても、餌料化の検証を行います。 2つめは、海ぶどうを含めた藻類陸上養殖のコスト削減等の高度化及び、あらたな養殖対象種の検討に取り組みます。
(2)ブルーカーボンクレジット活用に向けた基礎研究(R8~12、増養殖部)
地球温暖化対策として注目されるブルーカーボン(海藻など)が吸収・貯留する二酸化炭素量を算定し、その削減効果をクレジット(排出権)として取引するブルーカーボンクレジット制度の活用が進められています。この制度を活用するためには、大型海藻の種の特定や被度の把握が必要であり、これらについては潜水による目視調査が一般的に行われていますが、多大な労力や潜水事故等の危険が伴います。このため、ドローンを活用した安全で効率的な藻場把握のための調査手法を確立し、ブルーカーボンクレジット制度の活用を推進します。
(3)温暖化による本県沿岸漁業への影響の可視化(R8、経営流通部)
近年、長期的な海水温上昇などの環境変化が顕著化したことで、海洋生物の分布状況や養殖魚の生育状況に変化が生じています。本県では、シラスの長期的な不漁やブリの定置網への入網が遅れるなど、漁業経営への影響が懸念されています。そこで、本研究課題では、これまでに蓄積した漁海況データから、沿岸海況環境や沿岸漁業の漁獲組成の長期的変化を把握し、気候変動に対応した持続可能な水産業を推進する施策及び技術開発を目指します。
(4)環境DNAによるかつお・まぐろ漁業の漁場選択技術の高度化(R8~12、経営流通部)
本県の基幹漁業であるかつお・まぐろ漁業は、船体の老朽化や操業コストの不安定化等により、厳しい経営状態が続いています。さらに、国際的な漁獲競争が激化する中で、かつお・まぐろの我が国周辺への来遊状況が不安定な状況です。これまでに、小規模な漁場形成を的確に把握するための技術として、環境DNAによる操業支援調査技術の開発を進め、かつお一本釣漁業の収益性向上を目指してきました。今後、さらなる本技術の精度向上及び効率化を図るとともに、まぐろはえ縄漁業への応用に取り組みます。
なお、本研究課題はこれまでの業績により「令和7年度 全国水産試験場長会 会長賞」を受賞しました。
(5)環境DNAによる内水面生態系の効率的調査手法の開発(R8~12、増養殖部)
本県の内水面資源の適切な管理や効果的な増殖活動の推進を目的に、水産資源の科学的、客観的な状況の把握が求められています。そこで、本研究では、環境DNA分析技術等の活用による生物量の定量化技術の確立と、環境DNA調査のサンプリング法のマニュアル化による内水面生態系の監視体制の確立に取り組みます。今後、これらの技術やマニュアルの活用により、コウライオヤニラミを含む外来種の分布調査なども実施し、効果的な内水面資源の維持・保全活動の普及促進を目指します。
以上が令和8年度から取り組む新規研究課題です。水産試験場では、これらの新規課題 研究のほか、前年度以前からの継続課題や赤潮、水質環境保全のためのモニタリング調査等に取り組んでいます。更に、試験販売用の水産加工品の製造が可能な「水産物加工指導センター」、魚病の診断や養殖場の巡回指導、ワクチン講習会などの魚病対策指導を担う「魚病指導総合センター」を運営し、本県水産業を積極的に支援しています。
今後とも、水産業に従事される皆様の要望に応えるために技術開発や情報提供を行い、本県水産業の発展に尽力してまいります。
宮崎県水産試験場のホームページでは、これまでの研究成果の公開だけでなく、水産物加工相談や施設見学を受け付けています。ぜひご覧ください。
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令和8 年度の水産試験場の新規研究課題のご紹介(PDFファイル:2.8MB)
なお、この内容は 水産宮崎No.801に掲載されたものです。
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更新日:2026年04月30日