2022年1~5月のかつお一本釣り漁業における漁況について

更新日:2022年11月08日

宮崎県の基幹漁業であるかつお一本釣り漁業について、今年の上半期における漁況をまとめましたのでご紹介します。

電子ファイルは以下からダウンロードできます。

2022年1~5月のかつお一本釣り漁業における漁況について(PDFファイル:578.2KB)

なお、この内容は水産宮崎No.758に掲載されたものです。

2022年1~5月のかつお一本釣り漁業における漁況について

-経営流通部-

 

はじめに

本県の基幹漁業である近海かつお一本釣り漁業は、北上するカツオ魚群を追って南西海域・中南洋から東北沖合まで漁場を展開します。また近年では、上半期の数か月間はカツオに代わり、ビンナガ主体の操業によって漁獲を上げるという操業形態が取られています。今回は、2022年1~5月におけるカツオ及びビンナガ漁況や漁場形成の状況についてまとめましたので、ご紹介します。

なお、以下に引用する漁獲量はQRY情報(漁船間無線連絡資料)に基づくものであり、総漁獲量とは異なる点にご留意下さい。

 

今期のカツオ・ビンナガ漁況

2022年のQRY速報値によるカツオ漁獲量は3,094トンで、前年同期(3,148トン)比では98%、5年(2017~2021年)平均(3,321トン)比でも93%と若干下回り、低調な結果となりました(図1左)。また、3~5月のビンナガ漁獲量は827トンで、前年同期(1,771トン)比47%、5年平均(2,565トン)比32%と大きく下回り、カツオ同様、低調な結果となりました(図1右)。

近海かつお一本釣り船のカツオ月別漁獲量近海かつお一本釣り船のビンナガ月別漁獲量

図1 近海かつお一本釣り船の月別漁獲量(左:カツオ、右:ビンナガ)

 

今期の近海かつお一本釣り船のカツオ・ビンナガの漁場形成

近海かつお一本釣り船の操業は、例年1~2月は南方のカツオ大型群を漁獲するため20N以南での操業が中心となっていましたが、2022年は2020、2021年同様に南西諸島、薩南海域を中心とする操業で推移し、3月も同じ状況が継続しました。また、例年4月には南西諸島、薩南海域に加え、四国沖や紀南海域での操業が行われますが、2022年は南西諸島、薩南海域が主漁場となり、豆南海域においてごくわずかですが、ビンナガの漁場が形成されました。

5月は例年、本州東沖でのビンナガ操業が本格化する時期であり、本県船は近年、ビンナガ漁場を集中的に探索し漁獲しています。2021年は伊豆、小笠原や房総などの海域に漁場が形成されたものの、散発的な漁獲が続きました。2022年は伊豆、小笠原の南の海域に漁場が形成されましたが、2021年以上に散発的な漁獲が続き、低調な結果となりました。

2021年1月及び2月の操業位置2022年1月及び2月の操業位置

2021年3月の操業位置2022年3月の操業位置

2021年4月の操業位置 2022年4月の操業位置

2021年5月の操業位置2022年5月の操業位置

図2 カツオ・ビンナガの月別漁場形成(左:2021年、右:2022年)

 

おわりに

近海かつお一本釣り漁業では、燃油価格の変動、餌用のカタクチイワシの確保や不安定な資源の来遊・漁場形成と多くの問題を抱えて操業しています。水産試験場では今後も引き続き、今回ご紹介した漁獲量や漁場形成状況のほかにも、海況(水温や黒潮の動き)などの様々な要素を考慮し、他県や国と情報共有しながら、漁業者の方々へ漁場予測等の情報提供ができるように研究を続けて参ります。

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