貝毒について

更新日:2022年12月23日

貝がある種の毒素を持った植物プランクトンを餌として食べ、ヒトに有害な毒素を体内に蓄積させる貝毒について、その特徴と発生状況等をまとめましたのでご紹介します。

電子ファイルは以下からダウンロードできます。

なお、この内容は水産宮崎No.759に掲載されたものです。

貝毒について

ー増養殖部ー

1 貝毒

貝毒とは、主に二枚貝(ホタテガイやアサリなど)が有毒プランクトンを餌として食べることによって貝体内に毒が蓄積する現象のことです。貝そのものが毒を作っているわけではありません。

貝毒の原因となる有毒プランクトンは、光や温度等の環境条件の変化に伴って、1年のうちでごく限られた時期のみに出現します。出現しない時期は休眠細胞(シスト)とよばれる非活性の状態で海底に存在しています。環境条件が適当になると、シストが目を覚まして、発芽・増殖します。そして、増殖した有毒プランクトンを二枚貝が餌として体内に取り込むことで貝が毒化します。毒を蓄積した貝類をヒトが食べると、中毒症状を引き起こしてしまうことがあります(図1)。

貝毒には、麻痺性毒、下痢性毒、神経性毒及び記憶喪失性毒などがあり、複数の毒成分からなります。なお、これらの毒成分は熱で分解されにくいため、しっかり熱処理をしても食中毒が起きてしまうことがあります。このような貝毒のうち、日本で問題となっているのは、麻痺性毒と下痢性毒です。麻痺性毒の主な症状は、からだの痺れや発熱で、軽症の場合は24~48時間で回復しますが、重症の場合は死亡することがあります。また、下痢性毒は激しい下痢が主な症状であり、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。貝毒は、餌となるプランクトン由来の毒素であるため、有毒プランクトンが発生しなくなれば、貝体内の毒は減少する特徴があります。

ヒトが貝毒中毒症状を引き起こすまでの模式図(イメージ図)

図1 ヒトが貝毒中毒症状を引き起こすまでの模式図(イメージ図)

2 宮崎県における発生状況

全国の二枚貝出荷自主規制件数の推移を図2に示します(ただし、食中毒の発生件数ではありません。)。全国的に、麻痺性貝毒は下痢性貝毒と比較すると発生件数が多い傾向にあることがわかります。このことは、下痢性貝毒を引き起こす有毒プランクトンが北海道・東北沿岸域に多く存在しており、それ以外の海域では存在しないか、存在していても貝毒を引き起こすほどプランクトンがいないことに起因します(参考:有害有毒プランクトンの科学.2016)。なお、本県においては、これまで下痢性貝毒発生による出荷自主規制の事例はありません。

一方で、麻痺性貝毒の原因となる有毒プランクトンは、本県でもその存在が確認されています。本県において、過去10年間で存在が確認された麻痺性貝毒プランクトン密度のうち、最も高かった年は平成24年度で次いで平成27年度でした。また、その時期に採取した二枚貝の可食部毒量は、貝毒プランクトンが最も多かった平成24年度と比較して、平成27年度の方が高い結果となり(図3)、宮崎県の事例においては、貝毒プランクトンの細胞密度と貝の持つ毒量に関連が低くなるケースがあることがわかりました。このことは、貝毒プランクトンの細胞密度はあくまでも指標の一つにすぎず、本県海域の二枚貝の安全性確保においては、毒量そのものの値に注視する必要性があることを示唆しています。

全国の二枚貝出荷自主規制件数の推移(参考:農林水産省)

図2 全国の二枚貝出荷自主規制件数の推移(参考:農林水産省)

宮崎県における麻痺性貝毒プランクトン最高細胞密度と貝毒毒量の推移

図3 宮崎県における麻痺性貝毒プランクトン最高細胞密度と貝毒毒量の推移

3 貝毒検査の実施状況

本県では、国が定める貝毒毒量の規制値を超える二枚貝等が出荷・採捕されることがないように、貝類の生息場所の特性等を考慮して海域を区分し、貝毒プランクトンの発生状況を定期的に調査するとともに、生産されている二枚貝等について、県や養殖生産者による定期的な貝毒検査が行われています。この検査で、二枚貝等に規制値を超えた貝毒が含まれることが判明した場合には、出荷の自主規制や採捕の自粛呼びかけを実施することで、消費者の安全性の確保及び養殖生産者の被害軽減に努めています。

4 最後に

日頃より、漁場環境調査に御協力いただいている漁業協同組合及び養殖業関係者の皆様にはこの場をお借りして感謝申し上げます。引き続き、調査への御協力をお願いいたします。また、海面の着色、異常を確認された場合は、水産試験場(0985-65-6212)又は地元振興局(東臼杵農林振興局:0982-32-6135、南那珂農林振興局:0987-23-4312)まで御連絡ください。

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