日向灘沿岸の水産資源の評価結果について
日向灘沿岸の水産資源について評価結果をまとめましたのでご紹介します。
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日向灘沿岸の水産資源の評価結果について(PDFファイル:396.1KB)
なお、この内容は水産宮崎NO.760に掲載されたものです。
日向灘沿岸の水産資源の評価結果について
-資源部-
はじめに
宮崎県では本県沿岸の水産資源の適切な管理を目的として、毎年資源評価を行っており評価結果を宮崎県資源評価委員会(以下委員会という)に諮っています。
令和4年8月31日に開催された第12回委員会にて、10魚種(新規評価種1種)が評価されました。ここでは、毎年評価している「アマダイ類」、「イセエビ」「カサゴ」、「マダイ」、「ヒラメ」の5種の評価結果の概要を示します。
表1.第12回資源評価委員会の結果
・A、B、C、Dは使用した情報の質や量等を勘案した診断
・高位、中位、低位は資源レベル
・増加、横ばい、減少は直近5カ年の資源の動向
1.アマダイ類
写真1.水揚げされたアカアマダイ
図1.アカアマダイの推定資源尾数と推定資源量の推移
【委員会の提言】
・近年は漁獲対象となる3歳魚以上の資源尾数・資源量が増加していることから、資源の増加期に入った可能性が高い。
・現状が継続すれば、安定的な加入ひいては親魚量の増大につながると考えられるが、環境変化等により、状況が変わることも考えられることから、今後も資源の動向を注視する必要がある。
・近年は日向灘のアマダイ資源回復の好機であると考えられ、資源回復計画の推進により、親魚量と加入量を確保することが重要である。
2.イセエビ
写真2.水揚げされたイセエビ
図2.漁獲量の推移と動向
【委員会の提言】
・本種は沖合域からの移入により本県沿岸に加入してくると考えられることから、資源管理方策としては、加入量確保と生残率の向上を目指す取り組みと、資源の効率的利用が必要である。
・加入量の確保と生残率の向上の方策としては、藻場の造成や代替物を設置する取り組みが、資源の効率的利用の方策としては、小型個体の再放流により漁獲サイズの拡大を目指す取り組みや、操業調整により単価の高い時期等に漁獲する取り組みが重要である。
3.カサゴ
写真3.水揚げされたカサゴ
図3.資源量指標値(推定資源量)の推移と動向
【委員会の提言】
・近年、資源尾数・資源量及び加入量は横ばいで推移していると考えられるが、漁獲係数の増大傾向も見られることから、現行の資源管理措置を継続するとともに、漁獲及び資源状況の継続的な把握が必要である。
4.マダイ
写真4.マダイ
図4.大型定置網の資源量指標値(CPUE)の推移
【委員会の提言】
・肥満度は全てのサイズで1989年頃よりも低い傾向がみられるため、2000年以降の本県沿岸はマダイの生育環境として好適であるとは言いがたいが、市場調査魚の肥満度は2000年代前半を境に回復傾向もみられている。
・若齢魚の漁獲尾数は、1990年代後半から低い水準で推移している一方で、高齢魚の漁獲尾数は安定しており、近年本県で漁獲されているマダイは主に移入資源であると考えられることから、他海域の資源動向を含め、注視していく必要がある。
・現在は、人為的措置による資源の増大は期待しがたいが、地先での再生産状況と環境変化をモニタリングし、加入状況に変化が確認されるなど、人為的措置による資源増大が望める機会を把握することが重要である。
5.ヒラメ
写真5.水揚げされたヒラメ
図5.資源量指標値の推移と動向
【委員会の提言】
・全漁獲尾数に占める放流由来の混獲率は、2016、2017年には低下しているが、2019年以降上昇するなど、放流魚の漁獲割合が高くなっている。
・親魚量の減少や再生産成功率の低迷により、本種の資源量が低水準で推移していると推定されているが、本県が所属する太平洋南部海域でも総じて同じ傾向がみられることから、関係県と連携して、今後の資源動向を注視する必要がある。
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更新日:2023年01月16日