第八次宮崎県農業・農村振興長期計画について

更新日:2021年03月25日

第八次宮崎県農業・農村振興長期計画 全文PDFファイル

計画策定にあたって

本県農業・農村は、温暖多照な気候と豊かな自然環境を生かした農業を展開しており、食料の安定供給をはじめ、国土保全や景観形成等の多面的機能、多彩な農村文化等かけがえのない価値を有しています。また、運輸や食品加工・観光など幅広い産業と結びつき、県内経済振興や雇用創出でも、重要な役割を果たしています。

一方、農業を取り巻く環境は、地球温暖化や激甚化する気象災害をはじめ、グローバル化の進展、さらには新型コロナウイルス感染症など、めまぐるしく変化しており、更には農業従事者の減少や高齢化が進行し、集落の衰退が現実のものとなりつつあります。

このような中、持続可能な社会に向けたSDGsの取組が広がりをみせ、自然資本に立脚した農業は、SDGsの達成に率先して貢献する必要があります。さらに、温室効果ガス排出ゼロに向け、農業分野でも脱炭素社会の実現に積極的に取り組む必要があります。

今後、本県が「持続可能な魅力ある農業」を実現するためには、あらゆる危機事象に負けない農業構造へ変革するとともに、本県農業の経営資源に様々な情報を取り込んだ賢く稼げる農業を、県民や消費者、他産業等と共創していく必要があります。

本計画は、上記の観点を踏まえながら、本県農業・農村が更なる発展を遂げ、その魅力を国内外に発信し続けるために、農業者や関係機関・団体、他産業並びに県民の皆様と総力戦で各種施策に取り組んでいきたいとの思いを込め策定しました。

計画の目標

私たちは、あらゆる危機事象に柔軟に対応できる農業構造への変革をすすめ、様々な情報を積極的に取り込んだ賢く稼げる農業を共創することで、「持続可能な魅力あるみやざき農業」の実現を目指します。

<計画の目標達成のイメージ>

この目標は、本県農業・農村が、担い手減少に伴う様々な課題や、災害・感染症等の危機事象を克服し、新しい農業の形を創り上げ、「持続可能な魅力あるみやざき農業」を実現することが、食料の安定供給や農業・農村の維持・発展につながるとの認識から掲げるものです。

本県は、昭和35年の防災営農計画を礎として、農業産出額全国第5位の地位を確立してきました。しかし、農業生産や農村維持に重要な役割を果たしている家族経営体は、今後団塊の世代が75歳を迎え、生産基盤の弱体化や農村集落の衰退につながる恐れがあります。そのため、経営規模の大小や個人・法人の別を問わず、家族を中心とした産地を支える経営体を「みやざき型家族農業」と位置づけ、それらを核とした生産基盤の強化を進めることにより、本県農業・農村を次の世代へ円滑に承継していく必要があります。

  一方、近年は全国各地で気象災害や地球温暖化、火山噴火、地震、家畜伝染病、植物病害虫等が頻発し、更には新型コロナウイルス感染症など様々なリスクに農業は直面しており、本県農業はあらゆる危機事象にしっかりと対応していくことが求められます。

今後はこれらのリスクに対し、強靭な生産基盤や家畜・植物防疫体制の構築、農業セーフティネットの推進、地球温暖化対策、更に輸入資源からの転換など、あらゆるリスクに備える「新防災」を本県農業・農村振興の土台に据え、強さとしなやかさを併せ持った、危機事象に負けない農業の構築を目指します。

また、価値観やライフスタイル・働き方の多様化に加え、情報を駆使したデジタル技術は、インターネット、SNS、AIなど目覚ましく発展し、社会の在り方をも革新してきています。

今後、Society5.0時代を迎える中、これまで培ってきた本県農業の経営資源に、他産業の技術や創造力など様々な情報を積極的に取り込んだ「スマート化」を進めることで、生産現場での生産性の向上に加え、生産・流通・販売をつなぐサプライチェーン全体を最適化し、賢く稼げる農業を目指します。

これらの視点のもと、職業として選ばれる農業、消費者から選ばれる産地づくりを進め、本県農業の更なる魅力向上を図ります。

さらに、食料の供給や多面的機能、美しい景観、豊かな文化等「農業・農村の重要性を県民と共有」することで、県民みんなで農を育む環境を創出していきます。

目指す将来像

「持続可能な魅力ある宮崎農業」を実現するためには、従来の農業の枠を超えたチャレンジを続け、本県農業の魅力を最大化する必要があります。

そのために、本計画では、3つの視点から7つの目指す将来像を提起し、各将来像の実現に即した具体的施策(基本計画)を展開します。

視点1 ”農の魅力を産み出す”人材の育成と支援体制の構築

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(1)次代を担うみやざきアグリプレーヤーの確保・育成

(2)産地サポート機能を有する新たな体制の構築

これまでの「担い手(農業経営者)」に雇用人材を加えた人材を「みやざきアグリプレーヤー」として位置づけ、幅広く確保します。

また、新規就農支援や普及指導体制を強化しながら魅力ある「みやざきアグリプレーヤー」を育成し、職業として多くの人に選ばれる農業へ変革します。

新規就農者の育成や労働力調整、技術や農地・施設等の経営資源承継、生産面での連携による地域農業の維持・発展に向けて、JA部会や集落営農組織、法人経営体、生産支援組織等が協力し、情報共有とマッチング等を行う「産地サポート機能」を有する新たな体制を構築します。

 

視点2 ”農の魅力を届ける”みやざきアグリフードチェーンの実現

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本県農業の生産から流通・販売をつなぐサプライチェーンにも、情報技術を積極的に導入し、各業種が連鎖した最適化を行うことにより、農畜産物の価値や生産者の思いを消費地に運べて売れる仕組みとなる「みやざきアグリフードチェーン」を構築します。

(1)スマート生産基盤の確立による産地革新

稼げる農業を実現するために、スマート農業等による生産性向上や、農地の大区画化等の生産環境整備、分業生産体制の構築によって、効率的で持続的なスマート生産基盤を構築します。

また、推進品目の絞り込みや、周年供給体制の構築に加え、産地加工機能の強化や出荷予測など生産情報の見える化より、多様なニーズに適応した産地振興を推進します。

(2)産地と流通の変革を生かした販売力の強化 (3)産地とマーケットをつなぐ流通構造の変革
出荷予測等をフル活用した計画販売の実践、加工・業務用需要など社会構造の変革に対応したブランディングの構築、海外市場獲得に向けた戦略的輸出体制の整備により、本県農業の販売力を強化します。 選果場等の供給拠点の集約など、物流の効率化等による輸送環境の改善を図るとともに、生産から流通・販売まで、サプライチェーンを構成する各段階で、新技術の積極的な活用による対策の連鎖を促進し、産地とマーケットをつなぐ流通構造を変革します。

 

視点3 ”農の魅力を支える”力強い農業・農村の実現

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(1)次世代に引き継ぐ魅力あふれる農山村づくり (2)持続的で安全・安心な農業・農村づくり

農村集落の多様な人材が経験を生かし、集落運営に積極的に参画し、基幹産業である農業を活性化するとともに、他産業と組み合わせた所得・雇用の確保を図ることで、賑わいのある魅力あふれる農山村づくりを推進します。

また、農山村の魅力を国内外に発信し、受け入れ態勢を構築することで移住者や関係人口の創出を図ります。

エネルギーや飼料生産分野での更なる耕畜連携に加え、強靭な生産基盤、家畜・植物防疫、農業セーフティネット、情報発信等により、あらゆるリスクに備える新防災営農を構築するとともに、環境に優しい農業を展開し、持続的で安全・安心な農業・農村を実現します。

農業構造展望と農業生産の目標

1 農業構造の展望

(1)農業経営体の展望

本県農業経営体の大勢を占める世帯単位の総農家戸数は、団塊の世代が75歳を超え、今後10年間で3割程度減少すると予想されます。一方、農業法人は年々増加しており、今後も規模拡大や他産業からの参入などを背景に増加すると見込まれています。

このため、多様な人材の取り込みや経営資源の承継等により農業経営体の確保・育成に取り組むとともに、地域と調和のとれた他産業からの農業参入を支援します。

(2)農業生産人口の展望

農家戸数の減少に伴い、農業生産人口は今後10年間で2割以上、特に販売農家の基幹的農業従事者は高年齢層のリタイア等により3割以上減少すると予想される一方、若い新規就農者や農業法人等への雇用従事者は増加する見込みです。本件農業の生産力を維持するため、多様な農業従事者の確保に努めるとともに、就農支援のさらなる充実により就農者の定着を図ります。

 

(3)耕地面積の展望

農地転用等は年々少なくなっていますが、今後も緩やかな減少傾向が続くと予想されます。農業生産に必要な農地を確保するため、農地集積・集約や荒廃農地の発生防止・解消、耕地利用率の向上を目指します。

 

(4)生産構造の展望

本県農業は、全体の2割強を占める法人経営体や主業農家が、約6割の経営耕地を担い、8割以上の農業産出額を生み出しています。

今後、農業経営体数の更なる減少が見込まれる中、雇用従事者を含めた農業生産人口の確保に加え、農地の集積・集約による規模拡大、スマート農業等による効率化、営農をサポートする体制の構築等により、収益性が高い生産構造への転換を目指します。

令和元年度における本県農業の生産構造

令和7年における本県農業の生産構造

令和12年における本県農業の生産構造

 

2 農業生産の目標

(1)作付(栽培)面積・飼養頭羽数及び主要品目の生産量

農地集積・集約や水田の汎用化・畑地かんがい等により高収益な周年栽培体系を確立するとともに、施設園芸や畜産等の生産基盤強化、スマート農業や分業等の産地サポート体制により効率的な営農体制を構築し、持続的で生産性の高い農業の展開に努めます。

作付(栽培)面積・飼養頭羽数

主要品目の生産量

(2)農業産出額

農業経営体数が減少する中でも農業産出額を増やすため、生産性向上や規模拡大、人材確保・育成による生産量増加と、安定・有利販売や付加価値向上、効率物流による単価向上を推進し、令和12年には農業産出額3,700億円台の達成を目指します。

基本計画     

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計画実現に向けた推進体制

1 役割分担

この計画を実現していくため、農業者のみならず消費者や農業団体、市町村、県内他産業など、それぞれの役割について下記のとおり定め、関係者の取り組みを推進・支援します。

(1)農業者の役割

本県農業の重要な役割に誇りを持ちながら、主体的な取組と創意工夫、更には多様な産業との共創により、経営の更なる発展や農村活性化に向け、本計画実現の中心的な役割を果たしていくことが期待されます。

(2)消費者の役割

地産地消や農村との交流を通じて、食料自給や農業・農村の多面的機能、美しい景観や農村文化への理解を深めるとともに、本県農業の最大の応援団となることが期待されます。

(3)農業団体の役割

自らの機能強化に加えて、地域に根差した組織として、県や市町村、他産業等との連携を深めながら、担い手育成や産地づくり、農村地域の活性化など計画実現の地域調整役となることが期待されます。

(4)他産業関係者の役割

食品加工・流通・卸売業等やIT産業、林業や建設業など、農業者との連携を強化して相互の健全な発展を目指すパートナーとなることが期待されます。

(5)大学及び試験研究機関等の役割

農業者や農業団体、市町村、県と密接な連携を取りながら、最先端の技術開発や普及に取り組むとともに、専門的な技術者を育成し、計画実現のフロンティア集団としての役割を果たしていくことが期待されます。

(6)市町村の役割

地域住民に最も身近な行政機関として、特色ある農業振興を図るとともに、関係機関と連携しながら、計画実現に向けた地域の推進役となることが期待されます。


(7)県の役割

農業・農村の発展を図るために、計画実現に効果的な施策を立案するとともに、積極的な情報提供を展開し、計画実現のための総合プロデューサーとしての役割を果たしていきます。

2 計画の推進体制
(1)推進体制

県農政水産部内に第八次農業・農村振興長期計画推進本部を設置し、計画の推進を図るとともに、進行管理を行います。また、地域推進本部を設置して、地域ごとの推進・進行管理を行います。計画の推進体制

(2)評価

各施策の進捗状況を定期的に把握し、評価・公表を行うとともに、今後の施策や事業の企画立案に反映させ、計画の着実な推進を図ります。

この記事に関するお問い合わせ先

農政企画課
〒880-8501
宮崎県宮崎市橘通東2-10-1
電話番号:0985-26-7123
ファックス番号:0985-26-7307
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